EAGLEの使い方 基板製作編(アイロン転写,トナー転写)

 


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前回の内容はコチラ→EAGLEの使い方 パターン図編


前回は,EAGLEでパターン図を作成をしました.
今回は,基板の製作をしましょう.




 

今回使用するのは,アイロン転写という方法で,少し手間がいりますが感光基板に比べてコストがとても低い方法です.
これは,パターンの部分にトナーを転写してから生基板を腐食させる方法で,トナーのあるところは腐食されず,トナーのないところは腐食されます.これによって基板を作ることができます.

 

まず,必要なものをそろえましょう.


基板製作に必要なもの

  • 生基板

生基板とは,ガラスエポキシ樹脂やベーク材などの薄板の表面に銅箔を張り付けているものです.自分は主にPCBマテリアルズで購入しています

  • レーザープリンター

アイロン転写は,トナーを基板に張り付ける工程があるので,インクジェットは不可能です.

  • 腐食液(塩化第二鉄)

基板の銅箔をとかすために使用します.基板メーカーの腐食液もありますが高いです.
美術用の腐食液を成分は全く同じなので,美術用がおすすめです.
2Lあれば,数十枚分の基板を作ることができます.

  • 光沢紙

光沢紙によって転写の出来が非常に左右されます.一般的には”ぶどう紙”が有名ですが生産終了したようです.KOKUYO KJ-G14A4-50N または,KOKUYO LBP-FG1210N 実際に製作可能で,おすすめです.

  • アイロン

  • 腐食液を入れるジップロックまたは容器

  • ボール盤 or 電動ドリル

基板の部品の穴あけで使用します.
電動ドリルでも穴あけ可能ですが,正確な位置であけるのは難しいです.

  • ドリル(φ1.0,  1.2,  2.0mm 程度)

  • スチールウール

トナーを落とすために使用.紙やすりなどでも可

  • カッター or グラインダー

基板の切断に使用します.


 

  • その1

前回EAGLEで設計したパターン図を印刷しましょう.

赤丸のLayer settings…をクリックしましょう.

この画面では,表示するレイヤーを選択できます.

まず,Noneをクリックして全選択解除をしましょう.
その次に,Bottom, Pads, Dimension だけを選択してからOKをクリックしましょう.

 

  • その2

つぎに,印刷をするために,赤丸のPrintボタンをクリックしましょう.

この画面がでてくるので,以下の設定を行ってください.


Peper : 用紙サイズ
Orientation :用紙の向き
Alignment : パターン図を用紙のどこに配置するか
Scale factor : 印刷倍率(サイズがおかしいときはここか,Calibrateで設定してください)
Options : BlackとSolidにはかならずチェックを入れて下さい.(Black はパターンを黒で印刷する設定,solidは部品の取り付け穴の周りのパターンを黒く塗りつぶす設定)


設定が終わったら,光沢紙の光沢面に印刷されるように用紙をセットして,OKボタンをクリックして印刷してください.
印刷の設定では,濃いめの設定やCAD用の設定で印刷することをおすすめします.

 

  • その3

印刷されたパターン図の枠線を測って,サイズが合っているか確認します.

もしサイズが合っていたら,枠線でカットしてください.

 

同時に生基板をカットしましょう.
EAGLEの枠線のサイズに,グラインダーまたは(アクリル)カッターで切断しましょう.
カッターの場合は,何度も傷をつけていくことで折ることができると思います.




 

  • その4


KOKUYO KJ-G14A4-50N の場合

  1. アイロンを”“(最高温度)にして余熱します.
  2. 生基板に光沢紙を当て,アイロンで10kg程度の力で2分間押しつけます.(大きい基板の場合は,位置を変えながら,押しつけ時間を適度に増やしてください)
  3. 2分経過したら光沢紙がくっつくので,力を加えながら1,2分間アイロンで全体的に擦ります.
  4. 光沢紙の隅の部分のパターンはくっつきにくいので,アイロンの先端で入念に擦りましょう.
  5. 終わったら水につけます.

 

 


KOKUYO LBP-FG1210N の場合

  1. アイロンを”毛と綿の中間“にして余熱します.
  2. 生基板に光沢紙を当て,アイロンで10kg程度の力で2分間押します.(大きい基板の場合は,位置を変えながら,押しつけ時間を適度に増やしてください)
  3. 2分経過したら光沢紙がくっつくので,力を加えながら3-5分間アイロンで全体的に擦ります.
  4. 光沢紙の隅の部分のパターンはくっつきにくいので,アイロンの先端で入念に擦りましょう.
  5. 擦れてきたら,パターンが浮き出てくると思います.
  6. 終わったら水に20分程度つけます.

アイロンや,用紙の厚さなどの条件によってこれらの数字は変わります




 

  • その5

水につけて20分程度たったら,紙がふやけてきます.
この状態で,紙を剥がさずに中央部から指で優しくこすっていきます.(紙を剥がすとパターンが剥がれやすい)
擦っていくことで紙がぼろぼろはがれていくと思います.

擦っていくのこのようになると思います.

赤丸の部分に薄い紙の層がありますが,しっかりと落としましょう.薄い紙の層でもパターンが残ってしまいます.

上手くいかなかったら温度や時間を変更して再度その4から繰り返してみてください.
失敗した場合は,ガソリンにつけて落とすか,スチールウールなどで擦って落としてください.

もし,パターンが少し剥がれただけだったら,油性マジックペンでパターン部分を5回ぐらい繰り返し書くことで対処することができます.

 

  • その6

次に腐食液に基板を浸して,余計な部分の銅箔を溶かします.

まず,腐食液をジップロックや容器に入れます.
アルミ製だと,容器溶けて沸騰するので注意.

100*100mm程度の基板だと,200mlあれば足りると思います.
基板を腐食液に浸して,10-20分間たまに揺らしながら待ちます.
このように,パターン部分以外の銅箔が溶けていたら終了です.

処理に使用した腐食液は数回程度使用することができます.
ペットボトルなどに使用済み腐食液をいれて保存しておきましょう.

 

  • その7

腐食が終わった基板をスチールウールで擦ってトナーを落としましょう.
強く擦っても銅箔が落ちることはないのでしっかり落としましょう.

トナーが落ちたら基板にドリルで穴をあけましょう.

 

  • その8

最後に,基板に部品をはんだ付けすれば,すべて完成です.

設計どおりに動けば最初は感動すると思います.

 

お疲れ様でした.

基板の作成はできたでしょうか?




 

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