【エンジン】インジェクションの制御方法の種類,特徴

今回は,内燃機関の燃料噴射装置である,インジェクションの制御方式について説明していきたいと思います.

有名なものとして,以下のようなものがあります.(今では使われていないものも含め

  • スロットルスピード(α-N制御)
  • Dジェトロニック(BOSCH)
  • Kジェトロニック(BOSCH)
  • Lジェトロニック(BOSCH)
  • モノジェトロニック(BOSCH)
  • KEジェトロニック(BOSCH)
  • LHジェトロニック(BOSCH)

これらについて説明をしていきたいと思います.





  • スロットルスピード(α-N制御)

これは,レースカーなどでよく用いられる方式です.
スロットル開度 (α)とエンジン回転数 (N)の情報を使用して,吸気量を推定し,燃料の噴射量を決定する方式です.急加速時などに,燃料追従性が得られるという特徴があります.

量産車では,ホンダのBEATなどがアイドリング以外の領域で使用していました.
FACTBOOK BEAT1991.5

  • Dジェトロニック(BOSCH)

Dジェトロニックの”D”は,ドイツ語の圧力を意味する”Druck”の略です.

これは,インテークマニホールドの圧力をセンサで測定することで,吸入エア量を計算し,それを元に燃料の噴射を行うものです.

また,Dジェトロニックの開発は,インジェクタの圧力を一定に保つことのできる電動フューエルポンプの開発と同時に行われました.

  • Kジェトロニック(BOSCH)

Kジェトロニックの”K”は,ドイツ語の連続的という単語の略です.

Kジェトロニックとは,機械式のインジェクションであり,燃料は空気の量に比例して連続的に噴射します.

このインジェクションの動作は主に3つのパートに分けることができます.

  1. エアフローセンサ(流量計)が,吸気量を測定します.
  2. アキュムレータ(蓄圧器)とフィルターを通った燃料は,ポンプで圧力が上げられ,Mixture control distribution Unit(混合比制御分配ユニット?)へ送られます.その際,ユニットに送られる燃料の圧力は,圧力レギュレータで一定に保たれています.
  3. 計測された吸気量に対応する量の燃料が,インジェクタへと送られます.




  • Lジェトロニック(BOSCH)

Lジェトロニックの”L”は,ドイツ語の空気を意味する”Luft”の略です.

これは,電気式のインジェクションです.

  1. 圧力を上げられた燃料は,フィルターを通り,燃料分配マニホールドに到達します.このマニホールドには,圧力レギュレータが取り付けてあり,圧力を一定に保っています.
  2. 次に,ソレノイド駆動のインジェクタへ燃料が送られます.
  3. 燃料と空気の流量を常に連動させるため,ECUは空気流量やエンジンの回転数,クーラント温度,スロットル開度,バッテリー電圧などのデータを取得します.
  4. これらの情報を使用して,インジェクタの開弁時間を計算し,燃料を噴射します.
  • モノジェトロニック(BOSCH)

モノジェトロニックとは,電気的にコントロールされるインジェクションシステムであり,基本的に4気筒エンジンのために設計されています.

インジェクタは,スロットルバルブ上流のファンネル形状をした部分に1つだけ使用されています.このインジェクターの配置は,通常のインジェクター複数使用のシステムよりも,燃料システムを簡略化するために作られました.

また,スロットルバルブ上部のファンネル形状の部分にインジェクタが配置されていることで,燃料は高速の気流のなかに噴射されるため,理想的な噴霧化と混合が行われます.

インジェクターは,カムシャフト1回転につき2回駆動され,これは,点火装置と同期しながら動作しています.

  • KEジェトロニック(BOSCH)

KEジェトロニックの”E”は,”Electronic”の略です.

これは,機械式インジェクションのKジェトロニックをベースに,Electronic mixture control unit (電気式混合気制御ユニット?)などの電気機器を追加し,負荷や速度などの変化に対して,混合気の正確性や適応性をさらに高めるために開発されました.

  • LHジェトロニック(BOSCH)

LHジェトロニックの”H”は,”Hot wire”(熱線)の略です.

LHジェトロニックは,電気的なインジェクションであるLジェトロニックをベースに使用し,従来のフラップ型の流量計の代わりに,熱線流量計を使用しています.

(フラップ式と熱線式の違い)

熱線式には,以下の誤差に影響されないメリットがあります.

  1. 可動部品(フラップなど)の慣性によるラグからなる誤差
  2. 高度の変化による誤差(質量流量を測定できるため)
  3. 吸入空気の脈動による誤差
  4. 空気温度の変化による誤差

熱線流量計以外の全ての部品はLジェトロニックと同じです.




参考文献:Advanced engine technology, Heinz Heisler,P.399-432

3件のコメント

  1. お疲れ様です。

    勉強になりますね。
    自分はDジェトロ、Lジェトロ全盛の時代でホットワイヤ式のものも全てLジェトロで括っていたので、細分化するとこれだけあるのかと、とても勉強になります。

    モノジェトロって始めて聞きましたw お恥ずかしいw

    1. お疲れ様です

      私もモノジェトロは本を読んで初めて知りました。
      Webを調べても全然出てこないですし、Wikipedia のジェトロニックのページを見ても項目名だけあり、説明文はありませんでした。

      多分知っている人は殆どいないと思います笑

  2. モノジェトロは、おそらく「シングルポイント インジェクション」とも呼ばれるものだと思います。
    70年代後半から80年代前半くらいに普及し初代日産マーチなどに採用されていました。
    当時は高価だったインジェクタの数を減らせるので、コストダウンの為に用いられた手法だと記憶しています。ただ制御性の悪さやインジェクタの低価格化で次第に使われなくなりました。過渡的な技術だったのでしょうね。

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